JSFパートナーインタビュー 株式会社コーセー
宣伝部 宣伝企画・PR課
山内 鞠那さん

美を通じて一人でも多くの方に健康的な毎日を

日本スケート連盟のオフィシャルパートナーとして、2006年よりスケート競技の支援を続ける株式会社コーセー。宣伝部の山内鞠那さんに、さまざまな取り組みについて、お話を伺いました。

美の力でスケートに貢献したい

―― 株式会社コーセー様には2006年より協賛していただいていますが、きっかけを教えていただけますでしょうか。

山内 もともと弊社は“汗”や“皮脂”に強く、耐久性を持ったスポーツ専用化粧品「スポーツビューティ」を、業界に先駆け1981年に発売しています。
長年にわたり、こういった製品発売とあわせ、スポーツ振興を通じて美を創造する企業として、「美」「芸術性」「ファッション」との親和性の高いスポーツを中心にサポートさせていただいています。また社長の小林一俊も学生時代にアイスホッケーをやっていたこともあり、ウィンタースポーツの発展を応援したいという気持ちをとても強くもっておりました。


―― 実際に、化粧品は選手たち、とくにフィギュアスケート選手にとっては重要なものです。

山内 私たちは美の創造企業として、まずは選手のみなさんに自信をもって演技に集中していただけるように、スキンケアやメイクアップの方法を提供し、美の力で貢献したいという思いを大切にしています。その選手たちの姿を見た世界中の人が元気をもらったり夢を抱いたりということにつながれば良いなと願いながら、サポートさせていただいています。アイスショーやエキシビションの際にメイクルームの運営をしたり、定期的に選手のみなさんに商品の提供をしたり、そのほか個別でスキンケアのアドバイスなどもさせていただいています。


―― 「Dreams on Ice」や「ALL JAPANメダリスト・オン・アイス」などのアイスショーやNHK杯エキシビション会場のメイクルームでは、いつも選手たちが訪れて楽しそうにメイクをしていただいている様子が見られますね。

山内 前向きな気持ちで演技に挑んでもらえるように、選手たちにとって明るく居心地の良い場所になるように心がけており、みなさん気軽にいらしていただいています。『こんな衣装なんですけど、どんなメイクがいいですか?』とご質問を受けて、試合のときのメイクについても弊社のメイクアップアーティストから提案することも。そうした結果、メイクの仕方が変わって、印象も大きく変わった選手の方もいらっしゃいますね。男子選手に関しても、普段は何もしないとおっしゃる方でも、メイクが氷上で映えることを伝えると、ベースや眉毛だけでもやってみようかなという方も。田中刑事選手のように、この役に合わせてこういうメイクやヘアスタイルにしたいとこだわりをもっておられる選手も増えてきているように思います。ノービスやジュニアの若い選手たちはメイクルームには足を運びにくいかなと思っていましたが、みなさん結構寄ってくださって、自分のメイクが終わったあともその場に残って、ネイルを一緒に楽しんだりされている姿をみてとても嬉しく感じます。


―― アーティスティックスイミングの日本代表「マーメイドジャパン」などのサポートもされていますが、フィギュアスケートならではのメイクの特徴などがあれば、教えていただけますか。

山内 どのスポーツも、まずは「落ちない」ということが何よりも大切です。アーティスティックスイミングもフィギュアスケートも、衣装や楽曲のイメージに合わせることはもちろんですが、フィギュアの場合は、個人競技でもあるので、その方の顔の印象を生かしつつ、ポイントとしてトレンドも取り入れるようにメイクアップアーティストたちは意識していると聞いています。一般の方にも取り入れやすいところがあるので、ぜひそこにも注目していただきたいですね。

またアスリートのみなさんから寄せられるお悩みも、競技によってやはり違いますね。スキーやゴルフなどでは日やけ止めやスキンケアがメインになってくるんですが、スケートではメイクの色味やイメージについてアドバイスさせていただくことが多いです。氷上で活動するスケート選手の肌の状態はキレイですし、スキンケアもきちんとしてくださっている印象があります。



―― とくにメイクが上手だと思われるフィギュアスケート選手は?

山内 紀平梨花選手はご自身でよく研究されていて、メイクルームにいらっしゃっても、弊社の商品を使ってご自身でメイクを仕上げていかれることがあります。とてもお上手で、メイクアップアーティストが何も言うことがないくらいです。また宮原知子選手は、もともとはあまり化粧をされるタイプではなかったそうですが、メイクルームで毎回ご一緒するたびにどんどん印象が変わって、ご自分のスタイルを確立されていっています。いつもメイクさせていただいているアーティストも、最初の頃と比べると、宮原選手から話しかけてくださることが増えて嬉しいと話していました。宮原選手に関しては、メイクに自信をもたれることで、内面にも良い影響があるのではないかと思っています。


―― フィギュア以外のスケート選手たちとは、どのように関わっていらっしゃいますか。

山内 毎年、日本スケート連盟の優秀選手の表彰式にメイクアップアーティストを派遣し、選手のみなさんにメイクアップさせていただいていて、とくにスピードスケートやショートトラックの選手の方とご一緒させていただく貴重な機会となっています。みなさん美意識が高く、化粧品にくわしい方も多い印象です。

なかでも、髙木美帆選手、髙木菜那選手、佐藤綾乃選手からは、個々にメイクやスキンケアに関するご相談をいただきます。3人ともしっかりとお使いになった感想を送ってくださるので、こちらとしても提供のしがいがあり、とてもうれしいです。

●化粧品は男女誰でも使えるもの

―― 日本スケート連盟の協賛を続けていることで、御社としてメリットを感じられるのはどういった点でしょうか。

山内 たとえば「紀平選手や宮原選手が使っている商品を教えてください」というお問合せをいただくことも多く、商品の購買にも良い影響を与えてくださっていると認識しております。顧客推奨度を調査した際にも、弊社がスケートをサポートしていることをご存知であるお客さまに関しては、高い数値が出ていますので、協賛を通じてお客さまと弊社の接点が増え、関係がより強固なものになっていることが、データとしても証明できていると思っております。

また、アイスショーやエキシビションのメイクルームに、弊社のメイクアップコンテストで優秀な成績を収めた日本各地のBC(ビューティ コンサルタント)に応援に来てもらったことがありました。やはり世界で活躍する選手たちにメイクを施すことができるのは、BCにとってもモチベーションの向上につながります。そういった点でもこの協賛でとても良い影響を与えていただいているなと感じています。


―― スケート競技を応援してくださるお客さまに向けて、何か伝えたいことはありますか。

山内 私たちからも選手への優勝お祝い投稿や大会前の応援投稿などをSNS上でさせていただくのですが、ファンの方から『〇〇選手を応援してくれてありがとうございます』など、感謝のメッセージをいただくことがあります。私たちもそのお声が大変励みになっていますので、この場を借りてお礼を申し上げたいです。熱心なファンの方が多く、みなさんがちゃんと見てくださっていることをうれしく思っております。


―― ところで、山内様がこれまでご覧になられたなかで、とくに印象に残っている大会や演技は?

山内 私がスケートの担当になって間もない頃だったと思いますが、ヘルシンキの世界選手権(2017年)での羽生結弦選手の演技です。ショートプログラムで5位発進したなかで、フリーではノーミスの完璧な演技で逆転優勝された瞬間がとても印象に残っています。あのときたぶん羽生選手は涙を流しておられたように思ったんですけれども、羽生選手が感情をあらわにされている姿も印象的で、ご覧になられた多くの方が心を動かされたのではないかと思います。


―― 羽生結弦選手とは、現在、「雪肌精」でご一緒されていますね

山内 羽生選手は、演技もさることながら、すべてにおいて美しいイメージがあり、美を追求する弊社と何か親和性や共通点といったものを感じております。ジェンダーフリーが言われる今、化粧品は女性だけが使うものではなく、男女関係なく誰でも使えるものであり、羽生選手にその代表として出ていただけるのは大変ありがたいと思っています。

●人の心を動かす力がある

―― SDGs(持続可能な開発目標)が国連で採択される以前から、コーセー様は環境に配慮したサステナビリティに取り組まれてきたそうですね。

山内 雪肌精 『SAVE the BLUE』プロジェクトといって、12年前から地球環境保全や啓発活動を続けています。お客さまにご購入いただいた『雪肌精』ブランドの売上の一部を寄付し、養殖サンゴの育成や森の植樹に役立てていただくという活動です。現在はサステナビリティが当たり前のこととして認識されるようになってきましたが、当時はまだそこまで注目されていませんでした。この活動は国内にとどまらず、今では、日本を含めた世界中の国と地域へとグローバルに広がっています。


―― アスリートたちのなかにも、被災地やコロナ禍で大変な思いをされている方々に思いを寄せ、いま、いかに社会貢献できるかを考える選手が増えてきている印象があります。競技に取り組むだけなく、どうしたら社会に恩返しができるかと考えるようになっています。

山内 選手たちの影響力というのはやはり大きいものですので、選手のみなさんと一緒にどんどん発信していけたらありがたいですね。SDGsの面でも一緒に取り組んでいくことができたらうれしいです。つい先日も、アイスダンスの小松原美里選手から、弊社で手がけているヴィーガンコスメブランドにも興味を持っていただき、使用いただいたこともあります。



―― 今後、日本スケート連盟やスケート界に期待することを教えていただけますか。

山内 オフィシャルスポンサーを務めさせていただいて15年経ちますが、スケート界への注目はますます高まっていることを実感しております。すでに日本だけでなく世界で活躍する選手が出ていますけれども、これからもたくさんの選手が活躍されることを楽しみにしています。今後もいっしょに成長させていただき、人々の美に貢献できればと思っています。

スポーツと同様に、私たちは「化粧品には人の心を動かす力がある」と信じております。国籍や思想、年齢、性別など問わず、1人でも多くの方に、美の力で心や体の健康に貢献できればと願っています。